あんずは比較的家庭でも育てやすい果樹です。
そこまで袋がけの必要もありませんし、実に潜り込む虫も今のところ見ていません。
ただ、やはりアブラムシなどの害虫は付きますし、油断していると病気にもかかります。
殺虫剤や殺菌剤を使うと安心して育てることができるでしょう。
しかし、いざホームセンターであんず用に農薬を探してみても・・・・・・。
「あれ?あんずって書いてあるのがない・・・・・・」ってことが多いと思います。
今回はあんずにも使えて、比較的お買い求めしやすい農薬をご紹介していきます。
適用に【あんず】と書いてある農薬は多くない
実際農薬を手に取って適用を見てみても【あんず】と書かれているものはそう多くありません。
ではあんずに使える農薬は少ないのか?
実はあんずは【小粒核果類】という分類の果物です。
そのため農薬も小粒核果類に適用があるものを使用することができます。

殺菌剤
殺菌剤は主にカビによる病気を予防・治療するための薬剤です。
葉が白くなる「うどんこ病」なんてのは聞いたことがある人も多いでしょう。
ただし、その薬剤ごとにどの病気に効果があるというのが決まっているので必ず調べてから購入するようにしてください。
オーソサイド水和剤80
まず、殺菌剤の中で必須とも言える一つ、オーソサイド水和剤80です。
これは様々な種類の野菜、果樹、花などに使用可能で、対応している病気の範囲も広く、非常に使い勝手が良いことが特徴です。
収穫21日前まで使用できます。
黒星病・すす斑病に対応しています。
適用病害について詳しくはこちらをご確認ください。
トップジンM水和剤
こちらも有名な殺菌剤です。
オーソサイド水和剤80と同等以上に様々な種類の植物に使えます。
1gずつの個包装になっていますので、計量スプーンで量を悩むこともありません。
こちらも複数のサイズが売っていますが、趣味の範囲で通常仕様であればこの量くらいで十分でしょう。
高い浸透性があり、葉の中にいる菌にも効果があります。
トップジンMゾルという液体タイプの農薬もありますが、そちらはあんず(小粒核果類)には適用がありませんのでご注意ください。
様々な病気への適用があります。
確認はこちら。
ベンレート水和剤
上記2つに並ぶ有名な薬剤、ベンレート水和剤です。
これも浸透移行性が高く、発芽・開花前に予防薬としても利用可能です。
こちらもサイズの種類は豊富ですので、他のものにもたくさん使いたい場合は大袋をどうぞ。
収穫7日前まで使用できます。
低濃度で使用できるので、葉などを白く汚す心配が少ないです。
あんずには黒星病・すす斑病への適用があります。
詳しくはこちら
スターナ水和剤
かいよう病への適用がある、比較的買いやすい薬剤です。
Amazonで1100円くらいなので、かいよう病疑いがあった場合はスターナ水和剤を散布しましょう。
あまり果樹への適用は多くありませんが、桃やすももにも適用がありますので、育てている人にはおすすめです。
殺虫剤
マシン油乳剤
マシン油乳剤は、油と乳化剤を混ぜ合わせた殺虫剤です。
落葉果樹に適用がありますので、あんずも対象です。
神経系に作用する薬剤とは異なり、直接呼吸器官を塞いで窒息死させるため、薬剤耐性ができません。
このため、繰り返し使用することが可能です。
アブラムシやカイガラムシに効果を発揮します。
また、有機栽培に使用できる薬剤として認可されていますので、有機栽培をしたい方はまず第一に考えたい薬剤ですね。
アクタラ顆粒水溶剤
浸透移行性があり、葉の裏側にいる害虫にも効果を発揮します。
残効も1ヶ月ほどで、長期間の防除効果があるので頻繁に世話ができない家庭果樹園にももってこいです。
アブラムシ類やカミキリムシに効果があります。
収穫1週間前まで使用できることや、顆粒なので溶かすときに舞ったりしないのもメリットです。
割と幅広い植物に使えますので、持っていて損はないでしょう。
中にスプーンが入っているのですが、大きくて薬剤の中にほぼ埋めないと蓋が閉まらないのが難点です。
ダントツ水溶剤・ベニカ水溶剤
殺虫剤界でトップクラスに幅広く使えるのがこちらです。
2つとも有効成分・濃度は一緒なので、同一のものです。
そのため、散布限度回数は共通でカウントすることに注意が必要です。
野菜・果樹・花など幅広い植物に使用でき、有効成分が植物内に浸透するため、効果時間も最大1ヶ月です。
有効成分は浸透するため、葉の表面に散布すると裏についている虫にまで効果を発揮します。
さらに収穫3日前まで使える安心の効能です。
あんずにはアブラムシのみの適用なので、次に紹介するアルバリンを中心にした方がおすすめです。
アルバリン顆粒水溶剤
小粒核果類に適用がある殺虫剤です。
効果も長く、例として稲では60日ほどの残効があるデータがあります。
適用害虫もアブラムシ・カメムシ・シンクイムシという害虫の代表的なものばかりです。
カメムシやアブラムシが実を吸うとそこだけ汚らしくなってしまうので、是非準備しておきたい薬剤の一つです。
農薬と一緒に使う「展着剤」
展着剤とは、農薬を水で溶いた際に一緒に入れる薬剤です。
①農薬が水と均一に混ざるようになる
②農薬を散布した際に植物にしっかり付着するようになる(雨などで流れ落ちにくくなる)
効果があります。
例えばキャベツの葉なんかはワックスがかかったようにつるつると水をはじきます。

こんな感じでまったく水を寄せ付けないので、普通に農薬を散布しただけでは薬剤も弾かれてしまいます。
その時に展着剤を入れると、付着しやすくなりますので農薬を使う場合はぜひ一緒に使いましょう。
殺菌剤や殺虫剤だけでなく、普段遣いの除草剤にも入れるとしっかり枯らすことができますよ!
以下がおすすめの展着剤です。
ダイン
展着剤といえばこれ!というくらいに代表的な展着剤です。
価格も300円弱くらいでお手頃です。
葉に固着しやすくするため、雨でも薬剤が流れにくくなります。
とりあえず展着剤が欲しい!と思ったのであれば、まずこの展着剤の購入がおすすめです。
ブレイクスルー
先日購入した、名前の響きもカッコいい展着剤です。
説明には「スーパースプレッディング効果により、薬液を瞬時に広げます。」
とありますが、要は水滴の粒が葉の上でよく広がって馴染む効果があります。
瞬時にとは行きませんが、10分~20分くらいたつと確かに粒が薄くなり周囲に広がっています。
これも水を弾きやすい植物や、水を弾くイネ科っぽい草が多い場合の除草剤にも有効です。
うまく農薬を使おう
農薬を使わない栽培はもちろん素晴らしいですが、農薬を使う栽培も劣っているわけではありません。
適切に農薬を使用することで、病気の予防や治療、害虫の駆除が可能となり、それによって安全な木が育ち、安全な果実が生まれます。
無農薬であってもカビ菌が繁殖している木からの果実は、食べるのに抵抗を感じるでしょう。
ルールに従って農薬を使用し、立派な果樹を育てることが大切です。
コメント